借地・底地の売却ガイド|宅建士監修
寺社が地主の借地|承諾の窓口と、底地を買うときの手続き

お寺や神社が地主の借地を売るときの承諾の窓口、名義書換料の考え方、宗教法人が底地を売るときの公告などの手続き(宗教法人法23条)を宅建士が解説します。
- 宅地建物取引士が監修
- 最終更新 2026年10月10日
まず結論から
- 寺社が地主でも、借地権は売れます。承諾が必要な点、承諾料の考え方は個人の地主と同じです。
- 窓口は住職・宮司だけでなく、責任役員や管理会社のこともあります。誰が決めるのかを最初に確認します。
- 寺社が底地を売るには、宗教法人法にもとづく公告などの手続きが必要で、時間がかかります。
最終更新日:/監修:シュース健人(宅地建物取引士)
大阪と寺社の借地
大阪には、上町台地の「寺町」をはじめ、寺院や神社が集まる地域が各地にあります。寺社は古くから土地を持ち、その一部を住宅用の借地として貸してきました。境内の周りや門前の住宅地では、地主が寺社という借地が今も残っています。
寺社の借地は、契約が古く、地代が長年変わっていない、契約書がない、といったケースが多いのが特徴です。地主が代替わりしにくく、関係が安定している反面、承諾の手続きに時間がかかることがあります。
承諾の窓口は誰か
宗教法人の意思決定は、規則にもとづいて代表役員(多くは住職・宮司)と責任役員会が行います。名義書換の承諾や建替えの承諾も、代表役員一人では決められず、責任役員会の決議が必要なことがあります。檀家総代や氏子総代の意見を聞く寺社もあります。
地代の集金や契約の管理を、不動産管理会社に任せている寺社も少なくありません。まずは地代の支払い先・領収書の発行者から、窓口を確かめましょう。
寺社の借地によくある特徴
| 特徴 | 売却への影響 |
|---|---|
| 契約が古く、契約書がない・簡単な書面だけ | 契約内容の確認書を取り交わす必要がある |
| 地代が長年据え置き | 地主側が地代の見直しを条件にすることがある |
| 承諾の決定に役員会などが必要 | 承諾まで数週間〜数か月かかることがある |
| 管理会社が窓口 | 管理会社を通じて寺社に意向を確認する |
| 融資承諾書を出さない方針の寺社がある | 個人の買主は住宅ローンが使いにくく、買取業者への売却が中心になる |
| 境内地や墓地に隣接している | 買主によって受け止め方が分かれる。価格への影響は場所次第 |
寺院・神社の数(OpenStreetMap)
| エリア | 寺院 | 神社 |
|---|---|---|
| 東大阪市 | 119か所 | 57か所 |
| 八尾市 | 108か所 | 52か所 |
| 大阪市天王寺区 | 138か所 | 15か所 |
| 堺市堺区 | 124か所 | 27か所 |
| 茨木市 | 64か所 | 39か所 |
| 枚方市 | 69か所 | 27か所 |
| 大阪市北区 | 65か所 | 25か所 |
| 大阪市中央区 | 55か所 | 29か所 |
| 豊中市 | 66か所 | 16か所 |
| 寝屋川市 | 53か所 | 24か所 |
出典:OpenStreetMap(© OpenStreetMap contributors)。登録状況により実数と異なることがあります。集計できたエリアのみ掲載。

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名義書換料・承諾料は個人の地主と同じ考え方
借地権の譲渡に地主の承諾が必要なこと、承諾が得られないときに借地非訟の手続きがあること、相続による承継には承諾も承諾料も不要なことは、寺社が地主でも変わりません。承諾料の目安も、名義書換料が借地権価格の10%前後、建替承諾料が更地価格の3〜5%というのが一般的な水準です。
寺社によっては独自の基準を持っていることもあります。提示された額は、更地価格と借地権割合から計算した目安と比べて検討します。
寺社が底地を売るときの手続き(宗教法人法23条)

宗教法人が不動産を売る、担保に入れるといった処分をするときは、規則で定める手続き(責任役員会の決議など)を経たうえで、その行為の少なくとも1か月前に、信者その他の利害関係人に対して公告をしなければなりません(宗教法人法23条)。包括宗教法人(宗派・本庁)の承認が規則で求められている場合は、その承認も必要です。
そのため、借地人が寺社から底地を買い取る、同時売却するといった話は、個人の地主より時間がかかるのが普通です。売却の時期に余裕を持ち、早めに相談を始めることが大切です。
寺社との話し合いで気をつけること
寺社にとって、土地は代々受け継いできた財産であり、檀家・氏子との関係の中で管理しているものです。個人の地主以上に、急な話や一方的な要求には慎重になります。次のような点を意識すると、話し合いが進みやすくなります。
- 最初は住職・宮司や管理会社に、相続や売却の「ご報告とご相談」として伝える
- 譲渡先(買主)がどんな人・会社か、地代をきちんと払えることを説明する
- 役員会の開催時期を確認し、決定までの時間を見込んで売却の予定を立てる
- 承諾料の額は、更地価格と借地権割合から計算した目安と比べて検討する
- 寺社が底地を手放す考えがあるかも確かめる(同時売却の可能性)
当社は、売買の範囲で寺社への売却のご説明に同席し、必要な資料をご用意します。承諾をめぐって争いになっている場合は、弁護士へのご相談をご案内します。
寺社が地主の借地を相続したとき
寺社が地主でも、相続による借地権の承継に承諾や承諾料が要らないことは変わりません。ただ、寺社の側では「誰が借地人になったのか」を役員会に報告する必要があり、相続人の連絡先や地代の振込名義の変更を求められることがあります。これは承諾ではなく事務手続きなので、事実をそのまま伝えれば足ります。
檀家として長く付き合いのある寺の借地を相続した場合、法律の話だけで割り切れない気持ちを持つ方もいます。売却を考えるときは、まず相続の報告と、今後どうしたいかの相談を分けて伝えると、寺社の側も受け止めやすくなります。
寺社と底地を売り買いするときの価格
寺社が借地人から借地権を買い戻す、あるいは借地人が寺社から底地を買い取る場合も、価格の考え方は個人の地主と同じです。更地価格に借地権割合を掛けた額を出発点に、地代の水準、残りの期間、建物の状態を踏まえて話し合います。
ただし、宗教法人の財産の処分には公告や役員会の決議が必要で、価格の根拠を役員や檀家・氏子に説明できることが求められます。公示地価・路線価・近隣の取引価格といった公的なデータで根拠を示すと、寺社内での合意が得やすくなります。当社のエリア別ページの試算表は、その出発点としてお使いいただけます。
名義書換料や承諾料の提示額が妥当か、売却の前に確かめたい方もご相談ください。
寺社の借地を売るときの進め方
- 窓口の確認代表役員・責任役員・管理会社
- 契約内容の確認契約書・地代・特約
- 売り方の検討第三者・寺社への売却・同時売却
- 承諾の依頼寺社内の決議を待つ
- 売買・承諾書書面で承諾を受けて決済
寺社の借地は、住宅ローンの融資承諾書が得にくいこともあり、個人の買主には売りにくい面があります。買取業者への売却や、寺社への売却を含めて検討します。当社のエリア別ページでは、地図データ(OpenStreetMap)をもとに市区町村内の寺院・神社の数も掲載しています。
よくあるご質問
寺社が地主でも借地権は売れますか?
住職に話したら『役員会にかける』と言われました。
お寺から底地を買い取れますか?
寺社の借地の更新料は払う必要がありますか?
寺社に地代を払い続けていますが契約書がありません。
寺社が地主だと価格は下がりますか?
寺社の管理会社に承諾料を払うのですか?
寺社の借地で建替えはできますか?
大阪市北区の事務所で、宅建士が対応します
大阪借地・底地売却専門は、大阪府知事免許の不動産会社「株式会社GEEZ」が運営しています。顔の見えない一括査定サイトではありません。


シュース健人宅地建物取引士
大阪府 第118737号。ご相談には宅地建物取引士が責任をもって対応します。
- 宅地建物取引業免許大阪府知事(2)第62068号
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シュース健人宅地建物取引士
宅地建物取引士 大阪府 第118737号/株式会社GEEZ 所属
株式会社GEEZ所属。大阪・関西の相続、空き家、再建築不可、借地、工場・倉庫、長屋・文化住宅といった売却の難しい不動産の相談を担当しています。
本ページの数値は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」、総務省「住宅・土地統計調査」、経済産業省「工業統計調査」、国土地理院、OpenStreetMap の公開データを当社が集計したものです。価格は物件ごとの事情で変わります。実際の金額は現地確認のうえでご提示します。