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借地・底地の売却ガイド|宅建士監修

借地権を売る5つの方法|誰に売るかで価格と手間はこう変わる

小さな木造住宅が建ち並ぶ大阪の古い住宅街

借地上の家(借地権)を売る方法は、地主への売却、承諾を得て第三者へ、底地との同時売却、等価交換、底地を買ってから売る、の5つです。価格・手間・地主の承諾の要否を宅建士が比較します。

  • 宅地建物取引士が監修
  • 最終更新 2026年10月10日

まず結論から

この記事の結論
  • 借地権は売れます。ただし地主以外に売るときは、原則として地主の承諾が必要です。
  • 価格が高くなりやすいのは「底地と同時に売る」「等価交換」。早く確実なのは「地主に買い取ってもらう」「買取業者に売る」です。
  • 承諾が得られないときは、裁判所の許可(借地非訟)という道もあります。売る前に契約書と地代の記録をそろえましょう。

最終更新日:/監修:シュース健人(宅地建物取引士)

借地権は売れる。ただし地主の承諾がカギ

土地(底地)= 地主が所有 地代を受け取る権利・土地の所有権 建物 = 借地人が所有 + 土地を借りる権利(借地権) 借地人 → 地主 地代を払う 売るときは 借地権の譲渡に地主の承諾
借地では、建物と「土地を借りる権利(借地権)」は借地人、土地そのもの(底地)は地主のものです。片方だけでは使い道が限られるため、どちらも単独では売りにくくなります。

借地の上に建っている家を売るとき、売る対象は「建物」と「土地を借りて使う権利(借地権)」です。土地そのもの(底地)は地主のものなので、借地人が売ることはできません。

借地権を地主以外の人に売る(譲渡する)には、原則として地主の承諾が必要です(民法612条)。承諾なしに売ると、地主は契約を解除できるとされています。

ただし裁判所は、貸主と借主の信頼関係が壊れたといえない特別な事情があるときは解除を認めない立場をとっています。とはいえ、無断で売ってよいという意味ではありません。

承諾を得る代わりに、地主に「名義書換料(譲渡承諾料)」を払うのが一般的です。金額は法律で決まっておらず、借地権価格の10%前後が目安とされています。どうしても承諾が得られない場合は、裁判所に承諾に代わる許可を求める「借地非訟」という手続きがあります(借地借家法19条)。

5つの方法をひと目で比較

  1. 方法1

    地主に買い取ってもらう

    いちばん話が早い相手。承諾料はかからないが、価格は話し合い次第。

    手続き:かんたん
  2. 方法2

    承諾を得て第三者に売る

    買取業者や個人に借地権付きの建物として売る。名義書換料が必要になるのが一般的。

    手続き:ふつう
  3. 方法3

    底地と同時に売る

    地主と借地人が一緒に売り、買主は完全な所有権を得る。高値になりやすい。

    ★ 価格:高くなりやすい
  4. 方法4

    等価交換で分ける

    土地を分けて、それぞれが所有権の土地を持つ。広さと形が条件。

    価格:高くなりやすい
  5. 方法5

    底地を買ってから売る

    借地人が底地を買い取って所有権にし、そのあと売る。資金の手当てが必要。

    資金:必要
方法買主価格の傾向地主の承諾期間の目安
1 地主に売る地主話し合い次第。第三者に売るより低めになることも不要(相手が地主のため)1〜3か月
2 第三者に売る買取業者・個人更地価格×借地権割合を下回るのが一般的必要(名義書換料)2〜6か月
3 同時売却一般の買主・業者所有権として売るため高くなりやすい地主と共同で売る3〜6か月
4 等価交換(売らずに分ける)それぞれが所有権の土地を持てる地主との合意6か月〜
5 底地を買ってから売る借地人が底地を購入所有権として売れる地主との合意6か月〜

期間は話し合いが順調に進んだ場合の目安です。建物の状態、相続登記の有無、地主側の事情で大きく変わります。

方法1 地主に買い取ってもらう

地主にとって、借地権を買い戻せば土地は完全な所有権に戻ります。売り先としてはもっとも自然な相手で、名義書換料もかかりません。地主から「返してほしい」と言われているなら、まずこの道を検討します。

注意点は価格です。地主は「どうせ他に売れないだろう」と考えがちで、提示額が低くなることがあります。

第三者に売った場合の価格や、同時売却した場合の配分を資料で示すと、話し合いが進みやすくなります。建物が古く使い道がない場合は、建物を解体するかどうか、解体費をどちらが持つかも条件になります。

地主が買い取りを申し出た場合の考え方

借地人が借地非訟で譲渡の許可を申し立てると、地主は「それなら自分が買う」と申し立てることができます(介入権、借地借家法19条3項)。この場合の価格は裁判所が決めます。話し合いで地主に売るときも、この仕組みがあることを前提に価格を考えると現実的です。

テーブルを挟んで担当者がご夫婦の相談を聞いている様子

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方法2 地主の承諾を得て第三者に売る

買取業者や、借地権付きの家を探している個人に売る方法です。地主の承諾と、名義書換料の支払いが前提になります。名義書換料は売主(借地人)が負担する慣行が多いものの、売買の条件として誰が払うかを決めます。

個人の買主に売る場合、住宅ローンが使いにくいことが最大の壁です。金融機関は借地権付き建物への融資に地主の承諾書(融資承諾書)を求めることが多く、地主が応じないと買主は現金で買うしかありません。そのため、借地権付きの家は買主が限られ、価格は「更地価格×借地権割合」を下回るのが普通です。

買取業者に売る場合は、業者が地主との手続きを前提に価格を出します。個人に売るより価格は控えめになりやすい一方、建物が古い・雨漏りがある・荷物が残っているといった状態でもそのまま売れ、引き渡しまでの期間も読みやすくなります。

方法3 底地と同時に売る(もっとも高値になりやすい)

書類を手に高齢のご夫婦へ説明する担当者

地主と借地人が協力して、底地と借地権をまとめて一人の買主に売る方法です。買主は普通の所有権の土地を買うことになるので、住宅ローンも使え、買主の幅が広がります。結果として、それぞれが単独で売るより合計の価格が高くなりやすいのが特徴です。

売れた代金は、地主と借地人で配分します。配分の目安として路線価図の借地権割合が使われることが多いものの、決まった計算式はありません。地代の水準、残りの契約期間、建物の解体費の負担などを踏まえて、売る前に配分を書面で合意しておくことが大切です。

地主の側も「地代が安いのに固定資産税がかかる」「相続の前に整理したい」という事情を抱えていることがあり、同時売却は双方の悩みを一度に解決できる方法です。

方法4 等価交換で土地を分ける

借地権と底地を交換して、土地を二つに分ける方法です。たとえば借地権割合が60%なら、土地の6割を借地人が、4割を地主が所有権として持つ、という考え方です。分けた後はそれぞれが自由に売ったり建て替えたりできます。

ただし、分けた土地がそれぞれ建物を建てられる広さと形になるか、道路に接しているか(接道)が条件です。大阪市内の小さな敷地では、分けると狭くなりすぎて成り立たないこともあります。測量・分筆・登記の費用がかかり、税金の扱い(交換の特例など)は税理士への確認が必要です。

方法5 底地を買い取ってから売る

借地人が地主から底地を買い取り、土地と建物をそろえて所有権にしてから売る方法です。所有権になれば普通の不動産として売れるので、売値は上がります。一方で底地の購入資金が先に必要で、地主が売ってくれることが前提です。

地主が底地を手放したい事情(相続税の納税資金、地代の手間)を抱えているときは、話がまとまりやすくなります。購入と売却を一度に進めるため、買取業者が間に入って資金を手当てする方法もあります。

価格を左右する7つのポイント

  • 土地の価格:公示地価や路線価が高い場所ほど借地権の価格も高くなります。
  • 旧法か新法か:1992年8月より前の契約は旧借地法が適用され、更新後も変わりません。借地人の立場が強く、借地権の価値が評価されやすい傾向があります。
  • 残りの契約期間と地代:期間が長く地代が相場並みなら、買主は安心して買えます。
  • 建物の状態:古くても使える建物か、取り壊しが前提か。解体費は価格から差し引かれます。
  • 契約書の有無:契約書がない、口約束だけという借地も珍しくありません。地代の領収書や振込記録が契約の証拠になります。
  • 地主との関係:地代の滞納がない、これまでの更新がスムーズだった、といった事実は買主の安心材料になります。
  • 道路と建替えの可否:前面道路の幅や接道の状況によっては、建て替えに制限があります。

売る前にそろえておく書類

  • 土地賃貸借契約書(なければ、地代の領収書・通帳の振込記録)
  • 建物の登記事項証明書(相続した場合は相続登記が済んでいるか)
  • 固定資産税の課税明細(建物分。土地は地主に課税されます)
  • これまでの更新・承諾に関する書面(更新料の領収書、増改築の承諾書など)
  • 地主の連絡先(管理会社が窓口になっていることもあります)

書類がそろっていなくても相談はできます。何が足りないかを確認するところからお手伝いします。

名義書換料や承諾料の提示額が妥当か、売却の前に確かめたい方もご相談ください。

当社の関わり方

当社は宅地建物取引業者です。当社が買主または媒介業者として、売買の取引条件(価格・引渡し時期・承諾書の内容など)をご説明・調整します。承諾料の額や契約の解除をめぐって争いがある場合の交渉、借地非訟の申立ての代理は行いません。その場合は弁護士へのご相談をご案内し、必要に応じて弁護士・司法書士・税理士をご紹介します(紹介料は受け取りません)。

よくあるご質問

借地権は地主の承諾がなくても売れますか?
原則として地主の承諾が必要です。承諾なしの譲渡は契約解除の理由になり得ます。承諾が得られないときは、譲渡の前に借地人が裁判所へ申し立てる「借地非訟」で、承諾に代わる許可を求める方法があります。
借地権はいくらで売れますか?
路線価図の借地権割合(大阪の住宅地では60〜70%が多い)で計算した額が一つの目安ですが、これは相続税の評価用の割合です。第三者に売る場合の実際の価格は、承諾料や住宅ローンの使いにくさの影響で、その額を下回るのが一般的です。
地主に買い取ってほしいと言っても断られました。
地主に買い取る義務はありません。その場合は、承諾を得て第三者へ売る、同時売却を提案する、といった別の方法を検討します。話し合いが法的な争いになっている場合は弁護士へのご相談をおすすめします。
建物が古くても売れますか?
売れます。買取業者は古い建物をそのまま買い取ることが多く、解体するかどうかも含めて価格を出します。

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このページの監修

監修者 宅地建物取引士 シュース健人

シュース健人宅地建物取引士

宅地建物取引士 大阪府 第118737号/株式会社GEEZ 所属

株式会社GEEZ所属。大阪・関西の相続、空き家、再建築不可、借地、工場・倉庫、長屋・文化住宅といった売却の難しい不動産の相談を担当しています。

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