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借地・底地の売却ガイド|宅建士監修

旧法借地と新法借地の違い|あなたの借地はどちら?

「定期借地権」の積み木と家の模型・お金

1992年8月より前の借地契約は、更新後も旧借地法が適用されます。旧法と借地借家法(新法)の存続期間・更新期間、定期借地権の種類、売却への影響を宅建士が一覧で解説します。

  • 宅地建物取引士が監修
  • 最終更新 2026年10月10日

まず結論から

この記事の結論
  • 1992年8月1日より前に結ばれた借地契約は、更新した後も旧借地法が適用されます。「更新で新法に切り替わる」は誤りです。
  • 旧法は期間の定めがなければ堅固60年・非堅固30年、更新後は堅固30年・非堅固20年。新法の普通借地権は30年以上、更新は20年・その後10年です。
  • 定期借地権は更新がなく、期間が来たら土地を返す契約です。売却の考え方が大きく変わります。

最終更新日:/監修:シュース健人(宅地建物取引士)

見分け方は「最初の契約日」

借地借家法(新法)は1992年(平成4年)8月1日に施行されました。それより前に結ばれた借地契約には、更新を重ねた今でも旧借地法が適用されます(借地借家法の附則)。相続で引き継いだ場合も、借地権を譲り受けた場合も、もとの契約が続いている限り旧法のままです。

大阪の借地の多くは、戦前から高度成長期にかけて始まったものです。総務省の住宅・土地統計調査(2023年)では、大阪府の借地に住む持ち家世帯のうち、権利を取得した時期が1990年以前の世帯が約半数を占めています。

自分の借地が旧法か新法かは、まず最初の契約書の日付で確認します。契約書がなければ、建物の登記の日付や、地代の支払いがいつから続いているかが手がかりです。

期間と更新の比較表

旧借地法(1992年7月まで)借地借家法の普通借地権(1992年8月から)
期間の定めがない場合堅固建物60年/非堅固建物30年30年
期間を定める場合堅固30年以上/非堅固20年以上30年以上
更新後の期間堅固30年/非堅固20年1回目20年/2回目以降10年
建物の構造による区別あり(堅固・非堅固)なし
建物が朽廃したとき法定期間中や更新後の期間中は借地権が消滅する朽廃による消滅の規定はない
地主の更新拒絶正当事由が必要正当事由が必要

「堅固建物」は石造・レンガ造・コンクリート造など、「非堅固建物」は木造などをいいます。大阪の借地の住宅の多くは木造(非堅固)です。

更新と「正当事由」

旧法・新法とも、期間が満了しても、地主が更新を拒むには「正当事由」が必要です。正当事由は、地主と借地人それぞれが土地を使う必要性、これまでの経過、土地の利用状況、立退料の申し出などを総合して判断されます。地主が「期間が来たから返して」と言うだけでは、契約は終わりません。

借地人が更新を求め、建物がある限り、契約は同じ条件で更新されたものとみなされます(法定更新)。このとき更新料の支払いは法律上の条件ではありません。更新料は、契約で定めている場合や合意した場合に限って支払うものです。

クリップボードを手に家族と話す担当者

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定期借地権は「更新のない借地」

種類期間契約の方式期間満了時
一般定期借地権50年以上公正証書などの書面更地にして返す
事業用定期借地権10年以上50年未満公正証書が必須更地にして返す(事業用のみ・住宅は不可)
建物譲渡特約付借地権30年以上定めなし(書面が望ましい)地主が建物を買い取って終了

定期借地権には更新がなく、期間が来れば土地を返します。普通借地権のような更新を前提とした価値はなく、残りの期間が短いほど借地権の価値は小さくなります。マンションや戸建の「定借」物件は、この仕組みを前提に価格が決められています。

契約書がない・古すぎて読めない場合

不動産登記の権利情報(権利証)

旧法の借地では、契約書が見当たらない、戦前の手書きの契約書しかない、というケースが珍しくありません。契約書がなくても、借地契約は口頭でも成立しており、借地権が消えるわけではありません。次の資料が契約の内容を確かめる手がかりになります。

  • 地代の領収書・通帳の振込記録(いつから、いくらで払っているか)
  • 建物の登記事項証明書(建物がいつ建ち、誰の名義か)
  • 過去の更新や承諾に関する書面、更新料の領収書
  • 固定資産税の課税明細(建物の構造・建築年)
  • 地主側が保管している契約書の写し

売却の際には、これらの資料をもとに、地主と「現在の契約内容の確認書」を取り交わすことがあります。確認書で条件が変わっていないか(期間・地代・特約)を必ず確かめてください。

「旧法から新法に切り替わる」は誤り

よくある誤解が「更新したら新法の契約になる」「地主から新しい契約書をもらったので新法になった」というものです。旧法の契約は、更新しても旧法のままです。

新法が適用されるのは、1992年8月以降に新たに借地契約を結んだ場合です。旧法の借地を一度合意で終わらせ、改めて新しく契約を結び直した場合などは、新法の契約になり得ます。

地主から新しい契約書への署名を求められたときは、それが「従来の契約の確認」なのか「新しい契約」なのか、条件がどう変わるのかをよく確認しましょう。不安があれば署名の前に弁護士へご相談ください。

旧法・新法は売却にどう影響するか

旧法の借地は、存続期間が長く、正当事由がない限り更新が続くため、借地人の立場が強いといわれます。そのぶん、借地権としての価値が評価されやすい面があります。

一方で、旧法の借地は契約が古く、契約書がない、地代が長年据え置き、といったケースも多く、買主にとっては確認すべき点が増えます。売却の前に、契約書・地代の記録・更新の経過を整理しておくと、査定の精度が上がります。定期借地権の場合は、残りの期間から価値を計算することになり、普通借地権とは考え方が違います。

旧法の借地で建て替えるとき

旧法の借地では、建物が「堅固」か「非堅固」かで期間が変わります。木造(非堅固)の家を鉄骨造やRC造(堅固)に建て替えるには、契約で建物の種類を限定している場合、地主の承諾(条件変更)が必要で、承諾料は更地価格の10%前後が目安とされます。木造から木造への建替えでも、増改築を制限する特約があれば承諾が必要です(建替承諾料は更地価格の3〜5%が目安)。

承諾が得られないときは、借地非訟(借地借家法17条)で裁判所の許可を求めることができます。なお、旧法の借地で期間の途中に建物が滅失し、残りの期間を超えて存続する建物を建てた場合の期間の扱いには、旧法独自の規定があります。建替えを考えるときは、工事の前に契約と期間の扱いを確認しましょう。

名義書換料や承諾料の提示額が妥当か、売却の前に確かめたい方もご相談ください。

買主が確認するポイント

旧法・新法を問わず、借地権付きの家を買う人は、次の点を確認します。売る側があらかじめ整理しておくと、売却がスムーズです。

確認項目買主が気にする理由
旧法か新法か・残りの期間いつまで使えるか、更新の見込み
地代の額と支払い状況毎月の負担。滞納があれば引き継ぎの問題
増改築・建替えの特約自由にリフォームや建替えができるか
地主の承諾書・融資承諾住宅ローンが使えるか
建物の登記借地権を第三者に主張できるか
更新料の特約将来の支払いの有無

よくあるご質問

自分の借地が旧法か新法か分かりません。
最初の契約が1992年7月31日以前なら旧法です。契約書がなければ、建物の登記や地代の支払いの記録が手がかりになります。
旧法の借地は更新で新法になりますか?
なりません。更新後も旧法が適用されます。
定期借地権の家も売れますか?
売れますが、期間満了で更地にして返す契約のため、残りの期間が価格に大きく影響します。
期間が満了したら出ていかないといけませんか?
普通借地権(旧法を含む)では、地主が更新を拒むには正当事由が必要です。建物があれば法定更新されるのが原則です。
旧法と新法で地代は違いますか?
地代の額は法律で決まっておらず、どちらの契約でも合意で決まります。増減の請求は旧法・新法ともに認められています。
借地権を譲り受けたら新法になりますか?
地主の承諾を得て譲り受けた場合、従前の契約が引き継がれるため、旧法の契約なら旧法のままです。
堅固・非堅固はどう見分けますか?
建物の構造で判断します。木造は非堅固、鉄筋コンクリート造などは堅固とされ、鉄骨造は事案により判断が分かれることがあります。

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監修者 宅地建物取引士 シュース健人

シュース健人宅地建物取引士

宅地建物取引士 大阪府 第118737号/株式会社GEEZ 所属

株式会社GEEZ所属。大阪・関西の相続、空き家、再建築不可、借地、工場・倉庫、長屋・文化住宅といった売却の難しい不動産の相談を担当しています。

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