借地・底地の売却ガイド|宅建士監修
古い家が建ったままの借地|解体して返す前に知っておきたいこと

借地上の古い家や誰も住んでいない家は、解体して地主に返すべきか。建物買取請求権、旧法の朽廃、固定資産税への影響、そのまま売る方法まで宅建士が解説します。
- 宅地建物取引士が監修
- 最終更新 2026年10月10日
まず結論から
- 期間満了で契約が更新されない場合、借地人には建物を時価で買い取るよう地主に求める権利(建物買取請求権)があります。必ず自費で解体して返す、というわけではありません。
- 旧法の借地では、建物が「朽廃」すると借地権が消える場合があります。放置して傷ませるのは避けましょう。
- 解体せず、建物ごと借地権を買取業者や地主に売る方法があります。解体の前に一度査定を。
最終更新日:/監修:シュース健人(宅地建物取引士)
「更地にして返さないといけない」は本当か
借地の家が古くなった、誰も住まなくなった、というとき、「建物を壊して土地を返す」しかないと考える方は多いです。しかし借地権は財産で、売ることができます。解体して返すと、借地権の価値も、解体費も、すべて借地人の負担で失うことになりかねません。
契約が終わる場面ごとに整理すると次のとおりです。
| 場面 | 建物の扱い |
|---|---|
| 期間満了で、地主が正当事由をもって更新を拒んだ | 借地人は地主に建物を時価で買い取るよう請求できる(建物買取請求権・借地借家法13条、旧法4条2項) |
| 借地人と地主が合意して解約する | 合意の内容しだい。更地で返す約束をすることが多いが、条件は話し合いで決める |
| 地代の滞納などで契約が解除された | 建物買取請求権は使えず、原則として建物を取り壊して返すことになる |
| 借地権を第三者に売る | 建物ごと売る。地主が承諾しないとき、買主は地主に建物の買取を請求できる(14条) |
大阪の古い住宅と借地
2023年の住宅・土地統計調査を府内67市区町村で合計すると、人が住んでいる住宅4,177,150戸のうち、1980年以前に建てられたものは881,050戸(21.1%)です。割合が高いのは堺市南区(42.0%)、大正区(28.8%)、富田林市(28.4%)、島本町(28.1%)、住之江区(27.6%)でした。借地の家の多くは、旧借地法の時代に建てられた木造の一戸建です。
同じ調査で大阪府の借地の権利を取得した時期を見ると、1990年以前が48.8%を占めます。建物も契約も古い借地が多いということは、「建物をどうするか」「契約をどうするか」を、相続をきっかけに同時に考えなければならない世帯が多いということです。当社のエリア別ページでは、市区町村ごとの1980年以前の住宅の割合と府内の順位も掲載しています。
出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」。合計・割合は当社計算。
建物買取請求権とは
借地の期間が満了し、契約が更新されないときは、借地人は地主に対して建物などを時価で買い取るよう請求できます。これは借地人を守るための規定で、地主が拒むことはできません。「時価」は建物そのものの価格に、場所の利益などを考えて決められます。
ただし、地代の滞納など借地人の契約違反で契約が解除された場合には、この請求はできないとされています。空き家になっても地代を払い続けることが、借地人の権利を守る前提になります。

売却を決めていなくても大丈夫です。借地・底地の価格の目安と、売り方ごとの違いを無料でお伝えします。
旧法の「朽廃」に注意
1992年8月より前に結ばれた旧借地法の契約では、①期間を定めなかった場合(法定期間)や、②更新した後の期間中に建物が「朽廃」すると、借地権が消滅します。最初の契約で期間を定め、その期間中であれば朽廃しても消滅しません。大阪の旧法の借地は更新を重ねているものが多く、②に当たることも少なくありません。
朽廃とは、手を入れても使えないほど自然に傷み、建物としての効用を失った状態のことです。火事などで建物がなくなる「滅失」とは区別されます。
誰も住まずに雨漏りを放置し、建物がどんどん傷んでいくと、この朽廃に近づきます。借地権が消えれば、売って得られたはずの価値もなくなります。売るか、使うか、早めに方針を決めることが大切です。
誰も住んでいない建物と固定資産税

借地の固定資産税は、土地は地主、建物は借地人に課税されます。誰も住んでいない建物を放置して、市区町村から「特定空家等」や「管理不全空家等」として勧告を受けると、その敷地について住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が上がる可能性があります。土地の税金を払うのは地主なので、地主にとっても大きな問題です。
地主から「早く何とかしてほしい」と言われるのは、こうした事情があるためです。逆に言えば、建物をそのまま買い取る提案や同時売却の提案は、地主にとっても受け入れやすいことがあります。
解体しないで売る3つの方法
1. 建物ごと買取業者に売る
古い家、家財が残った家、雨漏りのある家でも、買取業者はそのままの状態で価格を出します。解体するかどうか、地主との承諾の手続きも含めて段取りを組みます。
2. 地主に建物ごと買い取ってもらう
地主が土地を使いたい、建て替えて貸したいと考えている場合は、建物ごとの買取に応じることがあります。解体費をどちらが持つかが話し合いのポイントです。
3. 底地と同時に売る
地主も土地を手放してよいと考えているなら、同時売却でまとめて売る方法があります。古家付きの土地として売るか、解体して更地で売るかは、買主層と費用で決めます。
建物の状態別の売り方の目安
| 建物の状態 | 考えられる売り方 | ポイント |
|---|---|---|
| まだ住める(手入れされている) | 承諾を得て個人の買主へ/買取業者へ | 借地権付きの中古住宅として売れる可能性。住宅ローンの融資承諾が得られるかが鍵 |
| 住めるが古い(設備の交換が必要) | 買取業者へ/地主へ | リフォーム前提の価格。増改築の承諾が必要かを契約で確認 |
| 雨漏り・傾きがある | 買取業者へ/地主へ/同時売却 | 建物の価値はほぼなく、借地権の価値で考える。朽廃のリスクに注意 |
| 家財が残ったまま | 買取業者へ | 残置物ごとの買取なら片付け不要。費用は価格に反映 |
| すでに解体した(更地) | 地主へ/同時売却 | 建物がないと借地権の対抗力に問題が生じることがある。滅失した場合は、土地の見やすい場所に所定の事項を掲示すると2年間は第三者に借地権を主張できる(借地借家法10条2項) |
同じ「古い家」でも、売れる相手と価格は状態によって変わります。建物の状態は、現地で屋根・外壁・床下・設備を確認して判断します。写真や図面がなくても、まずは住所と築年数の目安だけでご相談いただけます。
地主に返す場合の条件の決め方
話し合いで借地を地主に返す(合意解約する)場合、条件はすべて話し合いで決まります。次の点を書面で取り決めておくと安心です。
- 借地権の対価(地主が支払う額)の有無と金額
- 建物の解体をどちらが行い、費用をどちらが負担するか
- 家財の処分、引渡しの時期
- 滞納地代や前払い地代の精算
- 建物の滅失登記の手続き
当社でご相談いただけることは、次の4つです。
- 借地権が売れるかどうかの見立て契約書・地代の記録・建物の登記から確認します。
- 価格の見込み地主に売る・承諾を得て第三者に売る・同時売却・当社が買い取る場合を比べます。
- 当社が買主になる場合の取引条件のご説明当社が地主様に買取の意向をお尋ねできるかも含めてお話しします。
- 借地非訟を使った場合の流れと期間の目安売却までの段取りを、時期の目安とあわせてお伝えします。
承諾料の額や契約解除をめぐる争いそのものの交渉は行わず、弁護士をご紹介します(紹介料は受け取りません)。法律相談と並行して、売却の準備を進めることができます。
解体するなら、その前に確認すること
- 契約書に「更地で返す」旨の条項があるか
- 建物買取請求権が使える場面か(期間満了か、合意解約か)
- 解体費の見積もりと、地主との負担の分け方
- 解体後に借地権が残るのか、契約を終えるのか(建物がなくなると、第三者への対抗力の問題も生じます)
- 建物の滅失登記
解体は一度進めると後戻りできません。建物を壊す前に、売った場合の価格と比べることをおすすめします。
よくあるご質問
借地の家を解体して返せば、地主から何かもらえますか?
誰も住んでいなくても地代は払う必要がありますか?
家財が残っていても売れますか?
建物が古すぎて価値がないと言われました。
建物を解体すると借地権はどうなりますか?
古い家の固定資産税は誰が払いますか?
地主から『建物を壊して返して』と言われました。
大阪市北区の事務所で、宅建士が対応します
大阪借地・底地売却専門は、大阪府知事免許の不動産会社「株式会社GEEZ」が運営しています。顔の見えない一括査定サイトではありません。


シュース健人宅地建物取引士
大阪府 第118737号。ご相談には宅地建物取引士が責任をもって対応します。
- 宅地建物取引業免許大阪府知事(2)第62068号
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シュース健人宅地建物取引士
宅地建物取引士 大阪府 第118737号/株式会社GEEZ 所属
株式会社GEEZ所属。大阪・関西の相続、空き家、再建築不可、借地、工場・倉庫、長屋・文化住宅といった売却の難しい不動産の相談を担当しています。
本ページの数値は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」、総務省「住宅・土地統計調査」、経済産業省「工業統計調査」、国土地理院、OpenStreetMap の公開データを当社が集計したものです。価格は物件ごとの事情で変わります。実際の金額は現地確認のうえでご提示します。