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借地・底地の売却ガイド|宅建士監修

地主が売却を承諾してくれないとき|借地非訟と介入権のしくみ

頭を抱えて悩む高齢の女性

地主が借地権の譲渡を承諾しないときは、借地借家法19条の借地非訟で裁判所の許可を求められます。申立ての時期、承諾料の目安(借地権価格の10%前後)、期間、地主の介入権を宅建士が解説します。

  • 宅地建物取引士が監修
  • 最終更新 2026年10月10日

まず結論から

この記事の結論
  • 承諾を得ずに売ると契約解除のおそれがあります。売る前に、承諾か裁判所の許可を得るのが原則です。
  • 承諾が得られないときは、譲渡の前に借地人が裁判所へ「借地非訟」を申し立てます。許可の条件として借地権価格の10%前後の支払いを命じられるのが目安です。
  • 地主には自分で買い取る「介入権」があります。期間はおおむね半年〜1年。手続きは弁護士に、売れるか・いくらになるか・どう進めるかは当社に無料でご相談いただけます。

最終更新日:/監修:シュース健人(宅地建物取引士)

地主と話がこじれていても、売却のご相談は当社で無料でお受けします

当社でご相談いただけることは、次の4つです。

  • 借地権が売れるかどうかの見立て契約書・地代の記録・建物の登記から確認します。
  • 価格の見込み地主に売る・承諾を得て第三者に売る・同時売却・当社が買い取る場合を比べます。
  • 当社が買主になる場合の取引条件のご説明当社が地主様に買取の意向をお尋ねできるかも含めてお話しします。
  • 借地非訟を使った場合の流れと期間の目安売却までの段取りを、時期の目安とあわせてお伝えします。

承諾料の額や契約解除をめぐる争いそのものの交渉は行わず、弁護士をご紹介します(紹介料は受け取りません)。法律相談と並行して、売却の準備を進めることができます。

無断で売るとどうなるか

借地権の譲渡や転貸には、地主の承諾が必要です(民法612条1項)。承諾を得ずに第三者へ譲渡して使わせた場合、地主は契約を解除できると定められています(同条2項)。

ただし、判例は「貸主と借主の信頼関係を壊したとはいえない特別な事情」があれば解除を認めないとしています(信頼関係破壊の法理)。たとえば親族間の名義の移動など、実質が変わらない場合です。

とはいえ、売買で第三者に移るケースでこの考え方に頼るのは危険です。売却は承諾か裁判所の許可を得てから、というのが原則です。

相続は別扱い:相続で借地権を引き継ぐことは「譲渡」にあたらず、地主の承諾も承諾料も不要です。ただし相続人以外の人への遺贈は承諾が必要です。

借地非訟とは

地主が承諾しないとき、借地人は裁判所に「地主の承諾に代わる許可」を求めることができます。借地借家法19条にもとづく手続きで、「借地非訟(しゃくちひしょう)」と呼ばれます。通常の裁判(訴訟)とは違い、裁判所が双方の事情を聞いて、許可するかどうか、どんな条件をつけるかを決めます。

同じ借地非訟には、建て替えや増改築の承諾に代わる許可(17条)、競売や公売で借地上の建物を買った人のための許可(20条)もあります。

  1. 譲渡先を決める買主候補と条件を固める
  2. 申立て借地人が地方裁判所に申し立てる(譲渡の前)
  3. 審理双方の言い分を聞く。鑑定委員会が意見を出す
  4. 介入権の判断地主が自分で買うかどうかを申し立てられる
  5. 決定許可と条件(承諾料の支払いなど)が示される

申立ての時期と、誰が申し立てるか

申立ては譲渡の前に、借地人が行います。先に売ってしまってから許可を求めることはできません。また、誰に譲渡するのかを特定して申し立てるのが一般的なので、買主候補と売買の条件をある程度固めてから進めます。

申立てができるのは、借地上に借地人所有の建物があり、その建物と一緒に借地権を譲渡する場合です。地主に不利となるおそれがないかが審理されます。たとえば、譲受人に地代を払い続ける力があるか、使い方が大きく変わらないか、といった点です。

資料を見せながら家族に説明する担当者

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許可の条件:承諾料(財産上の給付)の目安

裁判所は許可する代わりに、借地人から地主への支払い(財産上の給付)を命じるのが通例です。金額は借地権価格の10%前後が目安とされています。事情によって上下し、地代の改定や契約条件の変更が条件に加わることもあります。

この「10%前後」は、話し合いで名義書換料を決めるときの目安としても使われています。地主から大きく上回る額を求められている場合は、裁判所の手続きを使ったときの水準と比べて考えることができます。

地主の介入権(借地借家法19条3項)

「司法書士」の積み木と書類

借地人が申し立てると、地主は「第三者に譲るくらいなら、自分が買い取る」と申し立てることができます。これを介入権といいます。裁判所が定める期間内に地主が申し立てた場合、裁判所は相当の対価を定めて、地主への譲渡を命じることができます。

介入権が使われると、借地人は予定していた買主には売れず、地主に売ることになります。対価は裁判所が鑑定委員会の意見をふまえて決めます。

借地権価格から承諾料に相当する額を差し引いた水準になる例が多いとされています。いずれにしても売却はでき、代金は受け取れます。

期間と費用の目安

項目目安
期間おおむね半年〜1年(事案により前後)
申立て手数料借地権の価額などにより裁判所が定める額の収入印紙
鑑定委員会の費用申立人の負担にはなりません
弁護士費用依頼する場合は事務所ごとに異なる
許可の条件地主への支払い(借地権価格の10%前後が目安)など

借地非訟は、時間も費用もかかります。また地主との関係がさらに悪くなることもあります。だからこそ、申立ての前に、買取業者への売却や同時売却など、話し合いで解決できる道がないかを確かめる価値があります。

話し合いで解決できる道:買取業者・同時売却

借地非訟は最後の手段です。その前に、次のような方法で話がまとまることも少なくありません。

  • 借地権を扱う買取業者に売る:業者が地主に承諾を求めることを前提に買い取るため、借地人が自分で地主と何度も話す負担が減ります。地主にとっても、地代を確実に払う相手に替わる安心があります。
  • 地主に同時売却を提案する:地主が承諾を渋る理由が「土地を取り戻したい」「将来の相続が心配」なら、底地も一緒に売る同時売却は地主にとっても利点があります。
  • 地主に買い取ってもらう:地主が「他人には貸したくない」と考えているなら、地主自身が買う方法が自然です。借地非訟の介入権と同じ結論を、裁判所を使わずに実現することになります。
ご相談の事例

母から相続した借地の家を売りたいと地主に伝えたところ、「知らない人に貸すつもりはない」と断られた。法外な承諾料を求められているわけではないが、話が前に進まない、というご相談です。

このような場合は、地主に買い取りの意思があるか、同時売却なら応じられるかを確かめ、それぞれの価格の目安を比べます。それでもまとまらなければ、借地非訟を視野に弁護士への相談をご案内します。

実在のお客様の事例ではなく、よくあるご相談を組み立てた例です。

申立てに向けて準備する主な資料

  • 土地賃貸借契約書(なければ地代の支払い記録)
  • 土地・建物の登記事項証明書、固定資産評価証明書
  • 譲受人(買主候補)との売買の条件がわかる資料
  • 地主とのやり取りの記録(承諾を求めた経緯、示された承諾料の額)

必要な資料や申立書の書き方は事案によって違います。弁護士に依頼する場合も、これらがそろっていると準備が早く進みます。

地主と話がこじれていても、売却のご相談は当社で無料でお受けします

当社でご相談いただけることは、次の4つです。

  • 借地権が売れるかどうかの見立て契約書・地代の記録・建物の登記から確認します。
  • 価格の見込み地主に売る・承諾を得て第三者に売る・同時売却・当社が買い取る場合を比べます。
  • 当社が買主になる場合の取引条件のご説明当社が地主様に買取の意向をお尋ねできるかも含めてお話しします。
  • 借地非訟を使った場合の流れと期間の目安売却までの段取りを、時期の目安とあわせてお伝えします。

承諾料の額や契約解除をめぐる争いそのものの交渉は行わず、弁護士をご紹介します(紹介料は受け取りません)。法律相談と並行して、売却の準備を進めることができます。

申し立てる前に整理しておきたいこと

  • 地主が承諾しない理由は何か(承諾料の額、買主への不安、地主自身が土地を使いたい、など)
  • 名義書換料として、どれくらいの額を示されているか
  • 地代の支払いに遅れがないか(滞納があると、手続き上も不利になり得ます)
  • 契約書の内容(譲渡や増改築に関する特約)
  • 売るなら、いくら・いつまでに・誰に売りたいか

当社では、売却の相場や買主候補の条件など、売却の判断に必要な材料をそろえるお手伝いをします。

ご注意:当社は宅地建物取引業者です。当社が買主または媒介業者として、売買の取引条件(価格・引渡し時期・承諾書の内容など)をご説明・調整します。承諾料の額や契約の解除をめぐって争いがある場合の交渉、借地非訟の申立ての代理は行いません。その場合は弁護士へのご相談をご案内し、必要に応じて弁護士・司法書士・税理士をご紹介します(紹介料は受け取りません)。

よくあるご質問

借地非訟は自分で申し立てられますか?
本人でも申し立てはできますが、書面の準備や審理への対応が必要です。多くの方は弁護士に依頼しています。
借地非訟の申立てをしたら必ず許可されますか?
必ずではありません。地主に不利となるおそれがあると判断されれば、許可されないこともあります。
介入権を使われたら損をしますか?
予定の買主には売れなくなりますが、裁判所が定める対価で地主に売ることになり、代金は受け取れます。
売った後から借地非訟はできますか?
できません。申立ては譲渡の前に行う必要があります。
地主が承諾料を法外に高く求めてきます。
名義書換料は借地権価格の10%前後が目安とされ、借地非訟でも同程度の支払いを条件とする例が多いとされます。大きく上回る場合は、その根拠を確認し、必要に応じて弁護士にご相談ください。
借地非訟の間も地代は払う必要がありますか?
払う必要があります。手続き中の滞納は不利に働くおそれがあります。

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このページの監修

監修者 宅地建物取引士 シュース健人

シュース健人宅地建物取引士

宅地建物取引士 大阪府 第118737号/株式会社GEEZ 所属

株式会社GEEZ所属。大阪・関西の相続、空き家、再建築不可、借地、工場・倉庫、長屋・文化住宅といった売却の難しい不動産の相談を担当しています。

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